昔から
何かあるといつも千里川土手に来てしまう。
昨日、仕事の合間
眠い目を擦ってやって来た。
いつぞや
GoogleのCMに使わられたとかで
少し人は増えたけど
それでもまだ快適な堤防である。
手に届きそうなくらい
近くに飛んでいる飛行機を見ると
全てがちっぽけに思える。
轟音と共に
胴体を左右に動かしながら
頭上すぐ上を飛んでいる飛行機は
いつも圧巻で私を興奮させる。
その瞬間だけは
詰まった言葉も振り切れない想いも
溜め込んだ疲れも全部忘れるから。
そこには確かな光と音を発して
全てを掛け去ってくれる気がするんだ。
飛行機はブレーキをかけて
ゆっくりとまた進み出す。
保障のないこの世で
他人が寄り添って
小さな社会、世界を創っていく
それがどんなに尊いものか私は知っているし
何事もなく平穏に過ごせるとも思っていなかった。
何事も乗り越えるということが
一番大変で
一番大事なんだと思う。
私は知らなかったんだ。
自分がこんなにズルい人間だなんて。
仕方ないよ。
その言葉がせめてもの
私から私への慰めだった。
私はいつも
そうやって生きてきたのだから。
これまでも、これからも。
「大丈夫、全部受け止める」
そう言ってくれた言葉を
私は受け止められるのかな。
真実も嘘も過去も現在も
全ては私だと何故、言い切れるの？
飛行機が
光を放ち、頭上を軽々しく通り過ぎてゆく。
少し肌寒い風が私の身体をすり抜け
何事もなかったかように音が消え去ってゆく。
いつか
こんな風に消え去ってゆくのかな。
途切れた半端な答えを持っているのは
誰よりも私なんだと思う。
ねぇ？
こんな優柔不断で弱虫な私を
それでも、助けてくれる？