気がつけば
9月になっていて
夏が終わってしまっていた。
今年の夏は
コロナで予定していた行事がほとんどなくなってしまい
大好きな野球も一度も観戦せずまま
会う約束をしていた友達とも会えないままだった。
なのに
先日のことを思い出しては
いい夏だったかのような思い出に浸ってしまう。
だめ、だめだ。
もうやめたの。
手に入らないものを欲しがるのは
まだまだ子供の証拠。
割り切れることが大人なら
何故、私に触れたりしたの。
「無事帰れた？」なんて
私は帰るしかなかったのよ。
「相変わらず可愛いね」
女は皮で出来ているわけじゃない。
「ずるいね」
私がそう言うと
少しだけ笑って目をふせた。
ずるいのは誰だったのか。
遠回しに嫌味を言うことでしか
私は自分を保てなかったんだと思う。
あの時の私を評価したのは
私ではなかったはずだ。
「もう会わないよ」
帰宅した私の返信は
駆け引きしてるみたいで虫酸が走る。
セックスをしていないから
惹かれるのか。
セックスを一度でもしたら
冷静になれるのかな。
それとも
他の男の肌に触れたら
私は眠れるようになるのか。
いや、それだと
私はただセックスをしたいだけじゃない。
つまらない。
彼の手には妻と子供の愛情があるというのに
私の身体はそれで感じてしまったりするの？
馬鹿馬鹿しい。
大丈夫。
もう若くもないのだから
「自己処理」の方法は知っている。
くだらぬ妄想をして寝るだけ。
大丈夫。
必ず明日には忘れてみせるから。