侑-Yuu-さんのブログ(98)
侑-Yuu-(31)
埼玉・エロ系

幸せ

19/2/8 03:36
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あたし、なにしてたんだろう。

こんなにも満たされる愛があることを
ずっと知らずに生きてた。

ずっと気にかけてくれてた
自分よりうんと年上のおじさんに。
なんとなく会ってみただけの
さっきまで顔も知らなかったおじさんに。
今だって、本当の名前も知らないおじさんに。


馴れ馴れしいわけでも
よそよそしいわけでもなかったこの人は
あたしのどうでもいい話を
いつも嬉しそうに聞いてくれて。

顔も名前も知らないまま
なんとなく会ってもいいかなって
気にさせてきた。

駅前で待ち合わせて
時間より少し早く着いたのに
おじさんはもう待ってて。

思ってたのと少し違う
短く整えた白髪混じりの髪。

顔写真なんて送ったことないのに
あたしのこと見つけてニッコリ笑いかけて
メールで呼ぶのと同じように
ちゃん付けであたしを呼んだ。

デートがしたいって言ったあたしのために
映画でも観ようかって
初めて会うとは思えないくらい自然に
あたしの腕を引いた。

あたし、この人と知り合いだったっけ。
そう思わせるくらい自然にあたしの手を握って
少し前を歩いていく。

あたしたち、今どう見えてるんだろ。

20個くらいの歳の差。
繋がれた手を見たら歳の差カップルにでも
見えてるんだろうか。

そんなこと考えてたら
パッと視界に現れて
「映画、なにがいい?」
って。

「あ、なんでも…」
って答えたら
「おっけー」
って笑う。

あたしがデートしたいって言ったのに
なにも決めなくても怒らないんだ。

若い子に人気そうな映画を選んで
チケット買ってるおじさん。

おじさんそれ、観てもつまんないんじゃない。
と思ったけど、なにも言わなかった。

この人は多分、あたしのために
そんな映画を選んでくれたんだろう。

後ろ姿見ながら、なんとなくそう思った。
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